2023年10月31日に発行された「レジャー白書2023」(日本生産性本部・編集発行)によると、2022年の将棋人口は前年の500万人から460万人、囲碁人口も前年の150万人から130万人と減少したそうです。減少傾向にある囲碁・将棋人口ですが、最近ではYouTubeなどの動画配信サイトで、解説動画が人気になったり、人気ゲーム内のボードゲームになったりと若者が囲碁・将棋に触れる機会は増えつつあります。
これからの盛り上がりが期待できる囲碁・将棋教室ですが、この記事ではこれから囲碁・将棋教室を開業したいという方向けに開業の手順をまとめてみました。ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
囲碁・将棋教室の開業手順
コンセプトを定める
どういったニーズを持った方向けに囲碁・将棋教室を開くのかによって、必要な設備やホームページに掲載する情報、レッスン内容、料金は大きく変わります。
コンセプトを定める際には、まずはターゲットから固めるのがよいでしょう。
ターゲットを固める
「ターゲットを広く取る」というのは、一見すると市場が広がるような気もしますが、事業が軌道に乗るうちは「ターゲットは小さく絞る」というのがよいでしょう。ターゲットとしては以下のようなものを設定できます。
ターゲット
- 年齢
- 性別
- 住んでいる場所
- スキルレベル
- スクールに通う目的
以上の項目を元にターゲットのヒントとなりそうな属性を表にまとめてみました。
項目 | 属性 |
---|---|
年齢 | 幼児 小学生 中学生 高校生 大学生 社会人 |
性別 | 男性 女性 |
棋力 | ルールを知らない 初心者 経験者 |
教室に通う目的 | 囲碁・将棋が好きだから 囲碁・将棋を強くなりたいから 囲碁・将棋を軸にして友達を見つけたい |
コンセプトを決める
どういった層をターゲットにするかによって、どのような教室にしていくかというのが変わります。
一般的にコンセプトを決める場合には、「誰に」「何を」「どのように」の3つの要素から決めていくとわかりやすいと言われています。
- 誰に(ターゲット)
主にどんな層に対して囲碁・将棋教室を提供したいのか - 何を
ターゲットが教室を通してどんなニーズや欲求を満たすのか - どのように
ニーズや便益をどのような方法や技術で満たすのか(練習内容や実施頻度、人数など)
また、見落としがちですが、18歳以下がメインターゲットを想定している場合、保護者が月謝を支払う場合がほとんどであったり、送迎を保護者がおこなっていたりするケースがあります。最終的に教室にお子さんを通わせるかの判断を保護者が握っているケースも多いため、保護者の利便性の視点も考えておくとよいでしょう。
以上の3つの要素だけを決めるだけでも、ある程度のコンセプトが固まったと言えるでしょう。もちろん、雛形にそって考えるだけでなく、自分たち特有の強みを活かしてコンセプトに落とし込むと、競合にあたる他の教室との差別化につながります。
レッスン内容を定める
作成したコンセプトに沿いながら授業の内容を考えていきます。初心者向けから上級者向けのプログラム、初心者や子ども向けのクラス設定など、ターゲット顧客に合わせたカリキュラムを検討しましょう。また、授業の内容だけでなく、社会人向けなら19:00以降にレッスンを行う、子ども向けなら12:00〜18:00でレッスンを行うなど、ターゲット別に時間を調整するのもよいでしょう。
また、講師や経験も重要な要素です。講師の強みを活かしたカリキュラムを作成することも独自性につながります。
囲碁・将棋教室の物件を決める
コンセプトに沿って適切な物件を選択することは、囲碁・将棋教室を安全に運営していくために大きく影響します。
自宅で開業する
開業場所として、自宅で開業するという方法があります。少人数に対して教室を開く場合はよいでしょう。自宅での開業の一番大きいメリットは初期費用と運用コストを抑えることが可能な点です。メリットとデメリットは以下のようなものが挙げられます。
メリット
- 初期費用、運用コストを抑えられる
- レッスンのための移動がなくなる
デメリット
- 自宅の改装が必要のため、家族や同居人の理解が必要
- プライベートが守られない
- 自宅が賃貸物件の場合、開業できない可能性がある
- 自宅住所を公開する必要がある
- スペースを確保できない
公民館などの時間貸しスペースを活用する
ふたつめに、公民館などの時間貸しスペースを活用して教室を行う方法があります。設備を初期投資する必要もないので自宅よりも開業のしやすさは高いでしょう。メリットとデメリットは以下のようなものが挙げられます。
メリット
- 初期費用を抑えることができる
- 人数に合わせて、スペースを柔軟に確保できる
- 必要なときだけ場所を借りられるため、赤字リスクが少ない
デメリット
- 都度予約をする手間が発生する
- 場所が空いていない場合、レッスンを実施できない
- 講師・受講者ともに移動が大変の場合がある
- 場所によっては、営利目的で借りることができない
テナントや賃貸物件を契約する
教室開業のためにテナントを契約する方法もあります。集客に優位な立地の物件を借りることもできますし、十分なスペースも確保できます。
メリット
- 自分の好きなときに、好きなだけレッスンを組むことができる
- 教室の独自性を出しやすい
- 備品の保管場所を確保できる
- スペースを確保できる
デメリット
- 初期費用が大きくなる
- 水道光熱費や賃料など、ランニングコストがかかる
- 閉業する際にもある程度のお金がかかってしまう
椅子や机、将棋盤(碁盤)といった備品が必要のため、あらかじめスペースがどれくらい必要なのかの洗い出しをしましょう。授業の内容によってはホワイトボードや大盤も必要なので、あらかじめどんな教室にするのかは解像度を高くしておきましょう。
立地については、集客の観点から駅やオフィスが多いエリアが近い方がよいでしょう。一方、駅に近い物件は固定費が高い傾向にあるため、どれくらいの集客が見込めるのか、同じ地域の同業と比較した際に不便ではないか、などさまざまな観点から立地を考えるのがよいでしょう。
設備に必要なスペース、立地の2つの観点で要件を事前にまとめた上で物件を探してみましょう。
システムの選定
囲碁・将棋教室を効率よく経営していくためには、事前にどういった運営業務を効率化するのかを考えておく必要があります。例えば、会員管理や決済管理、未払いに対しての督促業務などです。
もちろん「開業したタイミングで大部分を効率化する」というのは会員も少ないため得られるメリットは小さいでしょう。一方で経営リスクを減らすために、システムを導入するという観点があります。例として、紙での入会管理や現金での月謝管理などがあります。それぞれ、情報漏洩や金銭トラブルにつながるため、可能な限り早めにオンラインサービスへの移行を検討するのがよいでしょう。
料金を定める
テナントの家賃、外部システム導入での固定費を洗い出すことができたら、続いて教室の料金を定めます。
いままでのステップで定めたターゲットなどにも影響されますが、経営を持続させるために必要な収益を確保するという視点と開業するエリアの相場を加味して、一回あたりの料金を決めましょう。
テナントを借りる場合は固定費以外に内装費用、備品代、光熱費が発生します。集客のためには広告費も必要になるため、事前に設備費と運転費ごとにコストの洗い出しと回収見通しを立ててから料金を決めるようにしましょう。
開業について公的機関に相談する
開業にあたっては多くの書類や手続きが必要です。そのため、開業をする際には公的機関に相談するのがおすすめです。無料で相談ができる窓口としては、以下の5つの公的機関が挙げられます。
開業の相談を無料でできる窓口
- 税務署
- 商工会・商工会議所
- よろず支援拠点
- 中小企業基盤整備機構
- 日本政策金融公庫
税務署、商工会・商工会議所、よろず支援拠点、中小企業基盤整備機構、日本政策金融公庫などの公的機関は、開業に関する無料相談窓口を提供しています。
質の高い相談をするためには、事前に明確な事業の内容、具体的な事業計画・資金計画をまとめておくことが必要です。本記事で紹介した内容や各公的機関が公開している要件を参考にして、開業の解像度をあらかじめ高くしておきましょう。補助金や融資の情報も提供してくれるので、開業のタイミングでぜひ無料相談窓口を利用してみてください。
まとめ
囲碁・将棋教室を開業するには、人数に応じたスペースが必要です。どんな教室にしたいのかの解像度を高めておくことが非常に重要です。
事業の解像度が高まった段階で、実際に開業する際には公的機関に相談するのがおすすめです。法律、労務、集客方法などさまざまな観点で相談をすることができます。
開業したあと、受講生がある程度増えてくると集金やスケジュール調整などの事務作業の負担、リスクが大きくなってきます。
GMOレンシュはコーディングなどの専門知識は不要で教室・スクール運営を楽にする機能がたくさん揃っているので、囲碁・将棋教室の運営効率を改善していきたいと思っている方は、ぜひ検討してみてください。
GMOレンシュの紹介
チーム・教室のための連絡集金サービス「GMOレンシュ」では、運営業務をスムーズに、「教えること」に時間を使うというミッションのもと機能開発を行なっています。GMOレンシュの特徴として集金・連絡・予定機能があり、囲碁・将棋教室で発生する事務作業の多くをペーパーレス・自動化できるという特徴が挙げられます。スマートフォンさえあれば、管理することが可能なので、場所を問わず運営することが可能です。
GMOレンシュではクレジットカード決済・コンビニ払い・口座振替で生徒が月謝の支払いをすることができます。単発課金や継続課金の機能もあるので、払い忘れを防ぐことが可能です。また、生徒側で自動支払い設定をしておくことで、自動で支払いが行われます。未払いの際には期日前に自動で催促を行います。期日後の未払い金に関しても、いつでもボタンひとつで督促の連絡を行なってくれるため担当者の心理的負担を軽減することが可能です。
授業やイベントの情報を登録すると、自動的に受講者にお知らせされます。LINEでもメールでも連絡が一括されるので、漏れなく対象の会員に連絡することが可能です。