ピラティスはインナーマッスルを中心に鍛えていくエクササイズですが、筋力の向上や姿勢の改善が期待できるため、近年ますます人気になっています。全国に100店舗以上展開しているスタジオもあり、幅広い層から認知度が高くなっています。ピラティスといえば女性向けというイメージもありますが、インナーマッスルの筋力向上が期待できるため、男性の受講者も増えてきているようです。
この記事では、ピラティススタジオを個人でこれから開業したいという方向けに開業の手順をまとめてみました。少し長いですが、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
ピラティススタジオの開業手順
ピラティススタジオの開業手順は以下のステップとなります。
- 教室・スタジオの物件を決める
- レッスン内容を定める
- システムの選定
- 固定費を洗い出す
- 料金を定める
- 開業関連の手続きを進める
教室・スタジオの物件を決める
ピラティススタジオの開業後に安定した経営をするにあたって、一番重要なのは資金繰りです。そのため、もっとも大きい固定費である家賃を見通すために、教室・スタジオの物件を決めると見通しが立てやすいでしょう。
まず、ピラティススタジオを開くあたって必要なスペースを明確にするのがよいでしょう。ピラティススタジオのコンセプトやレッスン内容にもよりますが、先生と生徒の最低2人分のスペースさえあればレッスンをおこなうことが可能です。また、生徒は着替えや備品を持参してレッスンを受けるため、荷物を置けるスペースを設けることも必要となります。
1回のレッスンにどれくらいの生徒が参加できるようにするのかをあらかじめ決めておき、人数分の荷物スペースを考慮した広さを確保すると安心して運営できるでしょう。可能であれば、レッスン中には汗をかいたり深く呼吸をしたりするため、空気清浄機や大型の換気システムを導入するなど空調にも配慮するとよいでしょう。
その上で場所を確保する方法としては「自宅での開業」「テナントの賃貸契約」「レンタルスペースを借りる」といった選択肢があります。
自宅で開業する
ひとつめの手段として、自宅で開業するという方法が挙げられます。メリットとデメリットは以下のようなものが挙げられるでしょう。
メリット
- 初期費用を抑えられるのでリスクが小さい
- 物件に関する固定費を抑えられる
- 少ない資金で開業できる
- 自宅の光熱費などを経費計上可能になる
デメリット
- スペースによって生徒数が限られる
- 自宅が賃貸物件の場合、開業できない可能性がある
- 自宅の場所が公開されてしまう
- 生徒にプライベートの一部が知られてしまう
- 家族や同居人からの理解が必要
自宅での開業は、コストが抑えられるものの制約が多い傾向にあります。賃貸物件で自宅での開業を考えている場合は店舗や事務所としての利用が許可されている賃貸マンションの契約を検討するのもよいでしょう。
テナントの賃貸契約
ふたつめの手段としてのテナントを賃貸するという方法では以下のメリットとデメリットが挙げられます。
メリット
- 複数人にレッスン可能なスペースを確保できる
- 駅前などの立地条件で開業できる
- 店舗を構えていることで信頼が得られる
- 大型の設備導入が可能
- 仕事とプライベートを切り離せる
- 近隣や家族を気にせずレッスンができる
デメリット
- 物件の契約コストや初期費用がかかる
- 物件契約手続きに時間がかかる
テナントを借りて運営する場合は、制約は少ないもののコストが高くなってしまう傾向にあります。その分、集客において役立ったり、受講者の継続率を高くできるように設計できたりするため、経営の解像度を高めた上で検討してみましょう。
レンタルスタジオを借りる
みっつめにレンタルスタジオで、レッスンを提供する方法があります。受講者が予約した時間に合わせてレッスンをおこなったり、毎週決まった時間にレッスンをおこなったりする場合に適しているといえるでしょう。
レンタルスタジオで経営するメリットとデメリットには以下の通りです。
メリット
- 初期費用を抑えることができる
- 人数に合わせて、スペースを柔軟に確保できる
- レッスンごとに費用を払うため、赤字リスクがない
デメリット
- 都度スタジオを予約する手間がかかる
- レンタルスタジオが空いていない場合、レッスンが開催できない
- 都度、場所の案内が必要
- レッスンごとに必要な機材を持ち運ぶ必要がある
- 受講者によっては移動の負担が大きい
- ピラティスマシンを使ったレッスンができない
オンライン
最後にオンラインでピラティススタジオを開業する方法もあります。上記の方法と比べて、圧倒的に手間と費用を抑えられるのが魅力です。メリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
- 初期費用が抑えられる
- 撮影機材のみ用意すれば、その後はコストがかからない
- エリアを問わずに全国の生徒をレッスンできる
デメリット
- 細かくレッスンできないため、満足度を高めにくい
- 生徒が定着しにくい
- 競合が多いため、集客が難しい
- レッスン単価をあげにくい
オンライン指導でのピラティススタジオはライバルが多いという点と満足度を上げづらいため、差別化を図っていくのが難しいという側面があります。
一方で、コストが低いというメリットもあるため、オフラインでファンを作り、アップセルとしてオンライン講座も開いていくなどの戦略を考えるのも良いかもしれません。
レッスン内容を定める
物件によって、実際に提供するレッスンの内容は大きく影響を受けます。そのため、物件決めと同時にどのようなレッスンを提供するか決めていくのがよいでしょう。
まずはレッスンの提供方式について考えてみましょう。
グループレッスン
グループレッスンは講師一人に対して複数人でレッスンを行う方式のことです。メリットとデメリットは以下のようなものが挙げられるでしょう。
メリット
- コミュニティの形成につながるので解約率を下げられる
- レッスン開催あたりの売上が高い
- レッスン料金を安く設定できる
デメリット
- スペースが必要
- 運営方法によってはスケジュール調整が必要
- 個人ロッカーが必要な場合がある
メリットに挙げているコミュニティの形成に関しては、場合によって受講生同士のトラブルにつながる可能性もあるので利用規約やルールを事前に定めましょう。
また、グループレッスンとひとくちに言っても、3名程度のセミパーソナル制にするなど、人数で差別化することも可能なので周囲の競合他社を研究しながら人数を設定するのもよいでしょう。
パーソナルレッスン
パーソナルレッスンでは講師と受講者が1対1でレッスンをおこないます。
メリット
- フォームなど細かく指導できるので、効果が実感しやすく満足度につながる
- 受講生の状態やレベルに合わせた指導ができる
- スペースを抑えられる
- 一度に一人しか教室に来ないため、個人ロッカーがなくても運営が可能
- 受講生のプライバシーを守ることができる
デメリット
- レッスン料金が高くなる
- 受講生と講師の相性で満足度低下につながる場合がある
- キャンセルがあった場合、レッスンが実施できない
- 希望する枠で予約が取れない場合が多くなってしまう
つづいて、ターゲットを定めます。ターゲットによってレッスン内容や何時頃にレッスンを行うのかを変えていくことで効率的に受講生を獲得していくことが可能です。あくまで一例ですが以下に例をまとめておきます。
ターゲット別のレッスン内容のアイデア
ターゲット例 | レッスン内容例 |
---|---|
主婦 | 平日10:00 ~ 17:00 でレッスンを行う |
会社員 | 平日 6:00 〜9:00、18:00 〜 22:00でレッスンを行い、土曜日に振替レッスンを実施する |
初心者 | 体への負担が少ないレッスンを行う ウェアや道具を貸し出す |
経験者 | 細かく指導するため、少人数制でレッスンを行う |
ステップ1の教室・スタジオの物件決めによってもレッスン内容は影響されるので、同じタイミングで考えてみるのがおすすめです。
システムの選定
ピラティススタジオの運営業務にはレッスン以外でも、集客や決済、会員管理、日程調整などの業務が発生します。運営業務を効率的に行っていくためにも、事前に外部システムを検討するのがおすすめです。もちろん、最初から有料のシステムを導入する必要はなく、無料で利用できるGoogle Workspace Essentials Starterのようなサービスから考えるのがよいでしょう。
あくまでも、システムの導入の目的は「運営業務を効率的にする」がほとんどのため、すべての運営業務において、開業タイミングでシステムを導入する必要はありません。
一方で経営リスクを減らすために、システムを導入するという観点があります。例として、紙での入会管理や現金での月謝管理などがあります。それぞれ、情報漏洩や金銭トラブルにつながるため、可能な限り早めにオンラインサービスへの移行を検討するのがよいでしょう。
料金を定める
家賃やレンタル料金、外部システム導入での固定費を洗い出すことができたら、続いてレッスンの料金を定めます。
いままでのステップで定めたターゲットやレッスン方式などにも影響されますが、経営を持続させるために必要な収益を確保するという視点と開業するエリアの相場を加味して、一回あたりの料金を決めましょう。また、テナントを借りる場合は固定費以外に内装費用、備品代、光熱費が発生します。集客のためには広告費も必要になるため、事前に設備費と運転費ごとにコストの洗い出しと回収見通しを立ててから料金を決めるようにしましょう。
開業について公的機関に相談する
開業にあたっては多くの書類や手続きが必要です。そのため、開業をする際には公的機関に相談するのがおすすめです。無料で相談ができる窓口としては、主に以下の5つの公的機関が挙げられます。
開業の相談を無料でできる窓口
- 税務署
- 商工会・商工会議所
- よろず支援拠点
- 中小企業基盤整備機構
- 日本政策金融公庫
質の高い相談をするためには、事前に明確な事業の内容、具体的な事業計画・資金計画をまとめておくことが必要です。本記事で紹介した内容や各公的機関が公開している要件を参考にして、開業の解像度をあらかじめ高くしておきましょう。
個人事業主の場合でも、法人設立の場合でも開業する際にはさまざまな手続きと書類の提出が必要です。場合によっては、罰せられる可能性もあるので注意が必要です。
詳しくはこちらの記事にもまとめているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
まとめ
ピラティススタジオの開業は自宅やテナント、レンタルスペースなど場所を問わずにすることが可能です。それぞれによって、初期費用や運転資金が異なるので事前にどういった教室にしたいのかを決めて検討するのがよいでしょう。
事業の解像度が高まった段階で、実際に開業する際には公的機関に相談するのがおすすめです。法律、労務、集客方法などさまざまな観点で相談をすることができます。
開業したあと、生徒がある程度増えてくると集金やスケジュール調整などの事務作業の負担、リスクが大きくなってきます。
GMOレンシュはコーディングなどの専門知識は不要で教室・スクール運営を楽にする機能がたくさん揃っているので、ピラティススタジオの運営効率を改善していきたいと思っている方は、ぜひ検討してみてください。
GMOレンシュの紹介
チーム・教室のための連絡集金サービス「GMOレンシュ」では、運営業務をスムーズに、「教えること」に時間を使うというミッションのもと機能開発を行なっています。GMOレンシュの特徴として集金・連絡・予定機能があり、ピラティススタジオで発生する事務作業の多くをペーパーレス・自動化できるという特徴が挙げられます。スマートフォンさえあれば、管理することが可能なので、場所を問わず運営することが可能です。
GMOレンシュではクレジットカード決済・コンビニ払い・口座振替で生徒が月謝の支払いをすることができます。単発課金や継続課金の機能もあるので、払い忘れを防ぐことが可能です。また、生徒側で自動支払い設定をしておくことで、自動で支払いが行われます。未払いの際には期日前に自動で催促を行います。期日後の未払い金に関しても、いつでもボタンひとつで督促の連絡を行なってくれるため担当者の心理的負担を軽減することが可能です。
レッスンやイベントの情報を登録すると、自動的に受講者にお知らせされます。LINEでもメールでも連絡が一括されるので、漏れなく対象の会員に連絡することが可能です。