情報量の多い現在社会だからこそ、絵を描いたり、何かを作ることだけに集中する時間というのは、とても大きな価値があるといえるでしょう。そんなリフレッシュ効果のある絵画教室は、子供向けだけではなく、大人向けとしても人気のある習い事です。
すでに画家やアーティストとして活動している方で、安定した収入を別で立てたい方や、子どもたちに絵をおしえることが好き、という方など、絵画を教えることにチャレンジしたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただ、開業となると、何から始めたらいいのか、どれくらいの手間やお金がかかってしまうのか、不安になってしまうものです。
この記事では、絵画教室の開業に必要な準備や資金、集客方法のポイントについて解説していきます。
記事を読むとわかること
- 絵画教室の開業に必要な準備
- 絵画教室の集客に重要なポイント
絵画教室をはじめるのに資格は必要?
絵画教室を始めるのに、必要な資格はありません。ただ、もちろん教えようとしているジャンルの技術に精通していることや、生徒とコミュニケーションを取る力は必要になります。また、美術大学や芸術大学など、関連の学校で学んだことがある経験をお持ちの場合、生徒からの信頼を得やすくなるといったメリットがあります。
未経験でいきなり独立するのは不安、というかたは、絵画教室やカルチャーセンターで講師を募集している場合や、フランチャイズで始める方法もあるので、独立を見据えてこのような方法にチャレンジしてみるのも有効な手段です。また、本業の傍ら、週末や夜間のみ、イベントやワークショップなどで教える方法もあります。
絵画教室の開業準備
実際に絵画教室を開業すると決めた場合に必要な準備をみていきましょう。
コンセプト・授業形態を決める
絵画教室とひとくくりに言っても、様々な形態があります。
一般的にコンセプトを決める場合には、「誰に」「何を」「どのように」の3つの要素から決めていくとわかりやすいと言われています。
- 誰に(ターゲット)
- 何を
- どのように
具体的には以下のような内容です。
1. 誰に | 未就学児/小学生/中学生/高校生/大人 |
2. 何を | ・絵画や作品のジャンル ・レッスンの目的 ・楽しむことや情操教育を目的としたレッスン ・趣味としての絵を描けるようになりたい方向けのレッスン ・美大や専門学校の受験対策 など |
3. どのように | グループレッスン/マンツーマンレッスン グループの場合、最大人数や、時間配分 単発のレッスンなのか、複数回通うものにするのか そのほか、オンラインレッスンなどの独自のカリキュラムを取り入れるか |
場所を決める
コンセプトが定まったら、それを実現できる教室の場所を探します。
自宅で開業する
絵画教室の一番手頃で始めやすい手段として、自宅で開業するという方法があります。すでにアトリエとしてある程度のスペースを自宅に構えている場合や、一軒家の持ち家があるという場合などには、自宅で始めることで初期費用を抑えることが可能です。メリットとデメリットは以下のようなものが挙げられます。
メリット
- 初期費用を抑えられるのでリスクが小さい
- 物件に関する固定費を抑えられる
- 少ない資金で開業できる
- 自宅の光熱費などを経費計上可能になる
デメリット
- スペースによって生徒数が限られる
- 自宅が賃貸物件の場合、開業できない可能性がある
- 自宅の場所や先生のプライベートが公開されてしまう
- 家族や同居人からの理解が必要
レンタルスペースや公民館などの時間貸しのスペースを活用する
ふたつめに、公民館や集会所、市民センターなどの時間貸しのスペースを活用して教室を行う方法があります。机や椅子などの備品を貸し出している場合もあり便利ですが、営利目的に利用が行えない場合もあるので注意しましょう。近くにそういった施設があれば、まずは利用方法を問い合わせてみるとよいでしょう。
メリットとデメリットは以下のようなものが挙げられます。
メリット
- 初期費用を抑えることができる
- 人数に合わせて、スペースを柔軟に確保できる
- 必要なときだけ場所を借りられるため、赤字リスクが少ない
デメリット
- 都度予約をする手間がかかる
- 場所が空いていない場合、レッスンを実施できない
- レッスンごとに必要な画材や道具を持ち込む必要がある
- 画材などで汚れる恐れがあるため、対策が必要
テナントや賃貸物件を契約する
3つめに、教室の開業のためにテナントを契約する方法もあります。
大きなキャンパスやデッサン像などが必要な場合に保管場所を確保でき、生徒にとって学びやすい環境を整えることができますが、初期費用や維持費がかかってしまうため、リスクも大きくなります。
そのため、一般的には、自宅やレンタルスペースで生徒や講師が集まり、一定規模を超えてきたタイミングで検討するのが良いでしょう。
メリット
- 自分の好きなときに、好きなだけレッスンを組むことができる
- 教室の独自性を出しやすい
- 道具や作品の保管場所を確保できる
デメリット
- 初期費用が大きくなる
- 水道光熱費や賃料など、ランニングコストがかかる
- 教室を辞める際にもある程度のお金がかかってしまう
開業資金を確保する
開業資金は、2で決めた教室の場所をはじめ、さまざまな要因によって異なります。一般的にかかるお金の内訳としては、以下のようなものが挙げられます。
・場所に関連する費用(改装費・水道光熱費・賃料などを含む)
絵画教室を行うための場所を用意するための費用です。自宅で開業する場合、賃料や初期費用などを抑えることが可能ですが、改装を行う必要なケースもあります。その場合、改装費として最低でも100万円〜の準備が必要になります。
・レッスンに必要な道具、備品の費用
最初に決めた教室のコンセプトにもよりますが、教える内容に合わせた道具や画材の準備が必要です。筆や画材などは生徒に購入してもらう方法もありますが、選ぶ手間などが大きいと生徒に負担をかけてしまうため、たとえば教室で購入できるようにしておくといった方法もあります。
・広告・宣伝費
開業時や運営初期には、生徒募集のための広告や宣伝活動にまとまった費用を用意しておくと安心です。チラシ作成や印刷、ウェブサイトの構築、SNS広告などが含まれます。最初は知り合いのみで始める場合は、集客も口コミや紹介をメインとして、広告宣伝費を抑えることも可能です。
また、開業に必要な資金については開業時に補助を受けることができる場合もあります。
ここまでの方向性が定まってきたら、一度無料相談窓口などで起業の相談をすることもおすすめです。
詳細については以下の記事もご確認ください。
レッスン料と徴収方法を決める
ある程度教室の方向性が定まってきたら、レッスン料と徴収方法を決めましょう。絵画教室の場合、月謝制を導入することがほとんどですが、個人レッスンの場合など、回数券のようなチケット制を取り入れることもできます。
グループレッスンの場合、1回あたりのレッスン料の相場は3,000円〜5,000円、月謝にすると8,000円〜16,000円程度となっていますが、地域や対象の年齢、教える内容によっても異なるため、開業の際には近くの教室や、同じようなカリキュラムを提供しているスクールの料金体系を調べておくようにしましょう。
レッスン料の相場は、カリキュラムの内容や指導のレベルによっても異なるため、迷ったら1で決めたコンセプトを見直してみましょう。専門性の高い技術の習得や、芸大受験などを目標とする場合には相場がかなりあがる傾向にあります。
また、料金が決まったら、徴収方法も決める必要があります。
月謝の徴収方法には以下のような方法があり、それぞれのメリット・デメリットを記事内でも紹介しています。
開業届の提出
個人事業主になる場合、税務署に開業届を提出する必要があります。これにより融資や助成金の申請、事業納税などが可能になります。
また、事務所・事業所の新設や増設・移転・廃止する場合や、事業を廃止する場合にも提出が必要になりますので、覚えておきましょう。
提出期限と提出場所
開業日から1ヵ月以内に、自宅住所を管轄する最寄りの税務署に提出します。
提出方法
開業届の提出方法は現状では以下の方法があります。
- 税務署へ直接提出する
- 郵送(返信用封筒も同封)
- e-taxを利用して提出する
なお、お手続き方法や必要書類については変更がある場合もございますので、詳細は「国税庁のホームページ」にてご確認の上、管轄の税務署の指定に従ってください。
絵画教室の集客方法
教室を開業する準備が整ったら、生徒を集める必要があります。まずは知人から教えていったり、親しい人の紹介で生徒を増やす方法もありますが、規模を拡大していきたい場合には以下も試すとよいでしょう。
ホームページやSNSアカウントを活用する
教室に関する情報をインターネットで公開しておくことは集客にとても効果的です。
ホームページ上では、生徒に信頼してもらえるよう講師の経歴や指導方針を公開しましょう。毎週のレッスンの予定や内容も掲載しておくことで、生徒は、自分が通える時間帯に教室が開講しているのかを確認することができます。
HPの作成方法は業者に依頼する方法から、サーバーを借りて自分で作成する方法まで様々ありますが、「Goope」など、テンプレートを選んで簡単にHPを作成できるサービスもあるので、調べてみましょう。
また、絵画教室やお絵描き教室では、どんな作品を作ることができるのか、成果物の情報がとても大切です。そのため、Instagramやfacebookなどの、写真を公開できるSNSと相性が良いと言えるでしょう。
教室内の出来事以外にも、先生の作品の情報や、ほかのアーティストのかたの個展やイベントの情報など、コンセプト設計でターゲットとしてさだめた方が興味のある情報を発信していくことで、将来の生徒さんたちに出会いやすくなります。
チラシを作成する
オンライン以外の方法でレッスンを実施する場合、生徒になる見込みがある方は教室の近くにいます。そのため、物理的なチラシを配布することも有効な集客手段の一つです。
地域の商店街やスーパーマーケット、コミュニティセンターなど、多くの人が集まる場所にチラシを配布することで、周辺地域の人々に料理教室の存在を知ってもらうことができます。チラシには、教室の特長や料金、アクセス方法などをわかりやすく記載し、興味を引くデザインや写真を使うことが大切です。
体験レッスンや単発レッスンを実施する
複数回通うことをメインとする教室を開業する場合にも、1回限りの体験レッスンを実施し、教室の雰囲気やレッスンの進め方を知ってもらえるようにしましょう。特に子どもや未就学児を対象とした教室や、趣味として習うことを目的とする絵画教室の場合には、なにかテーマを定めて教室を開くと、人が集まりやすくなるでしょう。
体験レッスンの予約には、前述のホームページのお問合せフォームを利用するほか、SNSのメッセージ機能や、教室のLINEアカウントを活用する方法もあるので、ぜひ検討してみてくださいね。
紹介制度を用意する
個人の教室の場合、友人や知人からの紹介はとても信頼度が高く、新規生徒が教室に興味を持ちやすくなります。さらに、紹介者自身も特典や割引を得ることができるようにしておくと、双方にメリットが生まれるため、教室側が大きな労力をかけなくても集客ができます。
まとめ
絵画教室は、特別な資格が不要で始めることができるため、絵を書くことが好きだったり、アーティストとして活動されている方が副業として収入を得たい場合などに、開業を検討されることが多いでしょう。
ただもちろん、開業後も長く続けていくために、経営の知識や絵画の技術が必須です。レッスンを通して生徒と向き合い、信頼関係を結ぶことができれば、とてもやりがいのある生涯の仕事となるでしょう。
この記事では、絵画教室の開業に必要な手続き、集客方法などを解説しました。
これから絵画を「教える」ことにチャレンジしてみたいみなさんに、少しでもお役に立てると幸いです。
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「教える」にチャレンジしてみる際には、ぜひ一度導入をご検討くださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。